不正調査の方法は、この業務に従事したことのない人には良く分からないと思います。
私もそれほどではありませんが、まあまあの案件をこなしてきたことで、少しは理解できますので、
そのさわりとなりますが、お話ししたいと思います。
不正調査の基本は、私は
メールレビューとヒアリング
だと思います。
不正に関与した人の、その一定の範囲の人のパソコンを押収して、
関与者本人は全件、周囲の人は一定のキーワードにより抽出したメールを見ていくわけです。
全件ですと、どうしても変なメールも読むことになりますが、
中には、キャバクラのメールや、不倫のメールも出てきますので、そこはちょっと面白い!
メールを読んでいくと何のことか分からないメールもかなりの数出てきます。
それでも、ちょっとでも怪しいと思ったメール、頻繁に出てくるメールはピックアップして、
仮説が立てられるまで待ちます。
メールとともに、パソコンに保管してある、エクセルやワードなども吟味していきます。
多くの人はまさか自分のパソコンが押収されるとは思っていませんから、
意外と大事なファイルが出てきます。
売上や仕入れの不正であるならば、貸し借りの一覧表などが出てくることもあります。
ピックアップされたメールやファイルを基に、仮説を構築します。
その仮説に沿ったメールやファイルを集中的にレビューします。
これらの作業は繰り返しなされるかもしれませんし、意外とすんなりといくこともあります。
この間、情報収集として、被疑者とは関係が深くない人にヒアリングすることもあります。
ある程度の仮説が立てられたら、被疑者本人からヒアリングします。
質問して相手に自由に述べてもらいます。嘘でもなんでも、とにかく自由に述べてもらいます。
その後、証拠を見せながら、矛盾点、おかしなところを追及していきます。
このころは相手も動揺しているでしょうから、心が折れる人もいますが、攻撃的になる人もいます。
私はこのヒアリングが苦手でした。
ポイントは強弱付けるのがいいのではと思っていますが、
根が気の弱い私としてはあまり強く言えない場面が多かったですね。
でも、上手い人は上手い。
被疑者としても、中には、早く楽になりたいという人もいるわけです。
また、あくまでしらを切ろうという人もいます。
そういった人の気持ちを読んで、スムースに誘導する作法、
強く言ったり、優しく相手を思いやりながら、罪の償いを促す言い方は、
どんなに勉強しても身につくものではなく、実践経験のみです。
ヒアリングのやり方としては、
ラポールの法則
なども勉強しますが、それは知識としては重要ですが、実践経験でしか磨くことはできません。
実践で充分な成果をあげられないまま、この業務を卒業してしまった私ですが、
仮説は何度も構築して、その検証の面白さは充分に経験することができました。
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