所得税のポイント

国税庁「300万円以下は副業ではない」

国税庁も、ずいぶんと過激なことを言ってくれますね。
今までは副業の基準があいまいで、雑所得か事業所得かと判断が分かれることがありましたが、
今回のこの見解で、副業でも300万円以下であれば、雑所得として扱われることになります。
裁判ではなんか基準みたいなのが出たような気がするのですが、どうしたんでしょう?

300万円以下の副収入は事業所得ではなく雑所得

では、副業が雑所得として扱われるか、事業所得として扱われるかによって、
どのような違いが生じるのでしょうか。
以下では会社員として給与所得があり、副業を行っているケースを想定します。

事業所得の特徴

一つは損益通算です。事業所得は損益通算ができます。
損益通算とは、計算上赤字が生じた場合に、他の所得と通算することができる制度です。
この損益通算ができる所得は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つだけです。
(富士山譲-ふじさんじょうと覚える)
ですから、事業所得で赤字が生じた場合には、他の給与所得と損益通算することができます。
事業と称して、色々な経費(飲み食いも交際費として含まれる?)を計上して、
給与所得と損益通算するという手法が横行したのでしょうか、
税務当局も件のような見解をしたものと思われます。
本来は単なる私的な費用を事業所得と称して、損益通算の手段にしてしまう、これは違法です。
この損益通算は、雑所得では認められていませんから、赤字であれば、給与所得全額に課税されます。

国税庁-損益通算

もう一つは青色申告特別控除です。
青色申告特別控除は、
不動産所得、事業所得、山林所得を生ずべき事業を営んでいる場合に適用されます。
(富士山は青いと覚える)
最大で65万円を控除できますから、支出のない減価償却費のようなもので、とても重宝されます。
副業が事業所得であった場合には、最大で所得が65万円以下であれば、税金がかかりません。
青色申告控除前の所得-青色申告特別控除額(10万円~65万円)=所得金額となるからです。
でも、雑所得であれば、控除がありませんので、しっかりと税金がかかります。

国税庁-青色申告特別控除

事業所得の要件-裁判事例より

以前より事業所得の要件としては以下のようなことが裁判で認められてきました。

①自己の計算と危険
②独立して営まれ
③営利性、有償性を有し
④反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務

というものです。
それなりに客観的に事業を行い、独立してリスクを引き受ける事業である必要があるというものです。
本来ならばこれらの要件を満たせば、事業性が認められるのですが、
とはいっても金額的にある程度基準を引く必要があったのでしょうね。
だから、

所得が300万円以下の場合は原則として雑所得として扱いますが、
上記の要件を満たす場合には、例外として事業所得として認める

というスタンスのような気がします。

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