雑記帳

安全保障上、円安で製造業の国内回帰が進む

アイリスオーヤマが、約50種類の製品の生産を、
中国・大連から国内の工場に移すことを決めたそうです。
同社に限らず、国内に生産拠点を移す企業は増えてきています。
安全保障上の点から、
中国での製造はリスクが高いこと、
円安で輸出が有利であることからでしょうが、
一昔前の、円高で続々と生産拠点が海外、特に中国に移転していくのと対照的です。

国内回帰が始まると、当然、労働が必要になってきます。
労働需給が逼迫してくれば賃金が上がります。
賃金が上がれば、利益を確保するために製品価格を上げざるを得ませんね。
悪い円安とかなんとか言われていますが、
ようやく日本もインフレの傾向が生まれつつあるのかもしれません。

デフレの真っただ中の時に、デフレは実質賃金を押し上げるから、
デフレはいいんだという意見がありました。
なるほど、公務員的な発想ですね。公務員で賃金が下がらない人にとっては、
デフレは確かに実質賃金を押し上げますね。
でも、デフレがよくないのは、
モノが売れないから値下げする、
利益を確保するために人件費を圧縮する、
賃金が下がる、ベースアップがない、
益々、モノが売れなくなる
という循環を取ることになります。
それがこの失われた30年なのです。
だから、日銀が言っているように、2%程度のインフレがベストなのです。
日銀があの「黒田バズーカ」を打ち出した時に、かなりの批判がありました。
結果は、雇用、失業率とも大幅に改善しています。

香港への抑圧、コロナショックによる中国のあからさまな行動によって、
安全保障上、サプライチェーンの見直しが起こりました。
私のうちも、お風呂の給湯器の調子がよくないので、取り換えをしたのですが、
2カ月以上の待たされました。中国製が多かったそうです。
給湯器だからまだいいものを、これが、半導体などの安全保障上の重要部品であったなら、
その影響は特に大きなものとなったことでしょう。

そして、この円安です。
購買力平価による実態よりもかなり円安なのでしょう。
トヨタがどれだけ利益を伸ばすのでしょうか、輸出企業がどれだけ利益を伸ばすのでしょうか、
落ちぶれたとは言え、日本はまだまだ世界でも突出した技術力を保持している分野もあります。
輸出がドル建てであれば、円が40%安くなると何もせずとも、その分は売上が増加します。
原価がありませんから、その分はすべて利益です。
円高の時はその逆でしたから、日本企業は必死に原価低減を行ったのでしょう。
今度はまるっきり、その逆となります。

これからはインフレが進んでいくことでしょう。
でも、なぜ株価が上がらないのか?不思議でしょうがありません。
毎日、毎日、米国の株価に左右される相場はうんざりです。
世界で利上げをしていない国、金融緩和をしている国は日本だけという事実を、
投資家はどう考えているのでしょうか?

そのうち日本の株だけが上昇していくことを妄想?しているのですが、
やはり失われた30年は大きいのかもしれません。
私の若い頃は野村証券が圧倒的な力を持っていました。
俺たちが相場を引っ張っていくという、ある意味、傲慢ではありますが、
頼もしい人たちが多かったような気がします。
就職で会社訪問しても、野村證券だけは別格でした。
日本経済を引っ張っていくという気概が違いました。

あの野村證券はどこへ行ったのでしょう。
若い人には、あのバブルの頃のように、
自信をもって日本経済を引っ張っていって欲しいと思います。

-雑記帳