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定年退職時に気を付けること―継続雇用の場合

定年退職後の継続雇用について

高年齢者雇用安定法により、従業員の定年は

60歳以上

と定められています。
その上で、定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの
安定した雇用を確保するため、以下のいずれかの雇用確保措置を実施しなければなりません。

①定年を65歳まで引き上げること
②65歳までの継続雇用制度を導入すること
③定年制度を廃止すること

私の勤務していた会計事務所は②でありました。
給与がどのくらいになるかは分かりませんが、
嘱託として、一般的には退職時の給与の3割~7割程度になっているようです。

退職時に気を付けること

退職時に注意することを以下に挙げてみました。
このサイトをご覧になっている方で、退職と同時に引退を考えている方、
そんな考えは捨てて、一緒に大ジャンプしましょう。

退職金

退職時には、

退職所得の受給に関する申告書

を必ず会社等に提出してください。
この申告書を提出することにより、適正な退職所得の額と所得税額が計算され源泉徴収が行われます。
この所得は分離課税ですので、給与等と合算されません。改めて確定申告をする必要はありません。

なお、上記の申告書を提出していない場合には、退職所得控除が適用されず、
その退職手当等の金額につき一律20.42%の税率による源泉徴収がなされてしまいます。
税金の払いすぎですね。
必ず確定申告をして還付しなければなりません。

退職所得の金額は

退職所得=(退職金-退職所得控除額)×1/2

であります。

退職所得控除額は以下のように算定されており、
退職後の生計を維持するために、かなり優遇されています。

・勤続20年未満:40万円×勤続年数
・勤続20年以上:800万円+(勤続年数-20)×70万円

会計事務所の月給は通常の会社に比べて高いものの、退職金は低く設定されていますので、
私の退職金は数万円しか源泉徴収されていませんでした(笑)

高年齢雇用継続基本給付金

兄は私より一足先に退職し、嘱託として働いていますが、給与は退職時の約3割だそうです。
独身時代が長かったので、貯えがかなりあり、生活にはそれほど困らないのですが、
貯金が減っていくのは怖いものですし、貯えがない人はかなり厳しい状況になると思います。
そのため、

高年齢雇用継続基本給付金

の制度があります。

この制度は、老齢厚生年金の支給開始年齢を60歳から65歳まで段階的に引き上げることによる
公的年金の空白期間への対応として、国は企業に

原則65歳までの雇用継続

を義務付けました。
しかし、前述したように給与は退職時の3割~7割となっていることから、
その低下した給与を補うものとして、雇用保険では高年齢雇用継続給付を設けたのです。
高年齢雇用継続給付を受給するには、次の要件を満たす必要があります。

60歳以上65歳未満、かつ雇用保険の一般被保険者であること
・雇用保険の被保険者期間が5年以上あること
・60歳以降の賃金が、60歳時点の75%未満であること
・育児休業給付や介護休業給付の支給対象となっていないこと

私は兄にこの制度を伝えましたが、退職時に人事で手続きをしてくれたそうです。
一部上場企業ですから、その点はぬかりがないのでしょう。
しかし、この制度の手続きが漏れている可能性もありますので、退職者はご留意ください。

高年齢再就職給付金

先ほどの高年齢雇用継続基本給付金は雇用が継続されて、
雇用保険給付金等が支給されていないケースでした。
こちらは、雇用が継続されず、雇用保険給付金等の支給を受けている方が、
再就職した場合に支給されるものです。

すなわち、雇用保険の基本手当を受給している60歳以上65歳未満の人が、
再就職して賃金が退職前の75%未満に下がった場合に支給されまるものです。
受給要件は、前述の高年齢雇用継続基本給付金の受給要件に次の2つが加わります。

再就職手当、または早期再就職支援金を受給していないこと
1年を超えて引き続き雇用されることが確実であること

 支給額は、「高年齢雇用継続基本給付金」とほぼ同額で、支給期間は次の通りです。

・基本手当の支給残日数100日以上200日未満:1年間を上限に65歳到達まで
・基本手当の支給残日数200日以上:2年間を上限に65歳到達まで

これらの両制度については、こちらが詳しくなっていますので、ご参照ください。

厚生年金

厚生年金保険の適用事業所に勤務している70歳未満の方は、
年金を受けていても 厚生年金保険に加入しなければならないことになっています。
厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受ける60歳以上の方は、
基本月額(年金の年額を12で除した金額)と総報酬月額相当額(標準報酬+標準賞与/12)に応じ、
年金額が支給停止(全部または一部)される場合がありますので注意してください。

その基準額は47万円(2022年4月から年齢に関係なく一律)

です。

基本月額と総報酬月額相当額の合計額は47万円以下であれば、支給停止はありませんが、
47万円を超えると、超えた額の半分が支給停止(月額)となります。
なお、支給停止となるのは、老齢厚生年金であり、老齢基礎年金は支給停止にはなりません。

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