所得税のポイント

所得税の概要―全体像の理解が大事

こんにちは、ここじぃです。
本日は所得税の習得についてお話しします。

ポイント

・全体の概要

・所得を10種類に分ける理由

サラリーマンは税の意識が乏しい

サラリーマンは年末調整で税金の支払いが完結

年末調整などで、生命保険料、人によっては住宅取得の借入金残高の記入を
行ったサラリーマンの方は多いと思います。
寄付金や多額の医療費がない限り、年末調整で完結しますので、
サラリーマンの方の確定申告はそれほど多くはないでしょう。
給与所得者は年末調整を会社がしてくれますので、確定申告書を作成することも少なく、
実際に出金することもないので、税金の多さに驚き、怒り、ため息を漏らすことはないと思います。

税金の試算をしてみてびっくり!

私もその一人ですが、個人事業者となって自分で税金の試算をしてみてびっくりしました。
月々10%~20%源泉徴収がなされているのですが、
それでもかなりの額を確定申告時に支払わなければならないなりません。
7月ごろから薄々気付き、ふるさと納税で対抗していたのですが、ふるさと納税も上限があります。
上限を超えるとほんとの寄付金となってしまいます。
無駄な経費は使えませんし、コロナで交際費もそれほど使えません。

小規模企業共済の増額
経営セーフティネットへの加入

などの節税対策を行ったのですが、それでも限度があります。

マイクロ法人の設立

によって給与所得者になるしか抜本的な節税対策はないのかもしれません。恥ずかしながら、
私もずっとサラリーマンでしたので、この累進税率の高さにしばらくは気付きませんでした。
仮に所得が1,800万円以上あるとすると所得税と住民税を合わせると50%が税金となってしまいます。

所得税の計算は4段階に分けて考える

そこで、皆さまも

この恐ろしい所得税

をもっと理解できるように本日は所得税の全体像をお話ししてみます。

どんな勉強でもそうですが、最初から細部にまで突っ込んでしまうと、
その全体の位置付けが分からず、十分に理解することはできません。
税金もそのとおりであって、

全体の理解
基本となる個別論点の理解

を最初にやるのがいいと思います。
そういう点でFP3級やFP2級は税金を理解するのに役立つ試験でありました。
「タックスプランニング」は主に所得税、「相続・事業承継」は相続税に相当します。

所得税の計算は次のように4段階に分けられます。
まずは、これをしっかりと覚えておいてください。簡単に説明していきます。

Ⅰ各種所得の金額の計算
Ⅱ課税標準の計算
Ⅲ課税所得金額の計算
Ⅳ納付税額の計算

Ⅰ各種所得の金額の計算

所得を

10種類に区分

します。
なぜ10種類に分けるのかと言えば、所得の性質が異なっていて、
担税力に差が生じているからです。
例えば、退職金はその後の老後の生活資金となるものですので、
税金を多く徴収することはできません。
ですから、退職所得は(収入―退職所得控除額)×1/2となり、他の所得と合算されないで、
この所得だけ累進税率により課税されます(分離課税)。
退職所得控除額はかなり優遇されていて、勤続20年ですと800万円(40万円×20年)控除されます。

各種所得は大きく分けると給与所得、事業所得などの経常的な所得と退職金、
不動産売買などの一時的な所得に分かれます。

Ⅱ課税標準の計算

原則として各種所得の(総合課税)の金額を合算します。
なお、所得の種類によっては合算しない所得もあります(分離課税)。
また、課税標準の計算において赤字の所得がある場合には「損益通算」を行います。
この損益通算できる所得は限られており、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得です。
これらは「不事山譲」ですので、

富士山上であり、「ふじさんじょう」

と覚えます。
なお、この段階で、損失の繰越控除も行いますが、
それを行う前の金額を「合計所得金額」といい、配偶者控除の適用時に出てくる項目です。

この段階の合計額は、国民健康保険料の計算において基礎とされています。
ですから、例えば、不動産の譲渡で譲渡益が生じている場合や、
上場株式で多額に譲渡益が生じそれが前年から繰り越されている損失と相殺しても余りある場合には、
前年と比較して国民健康保険料が増加する可能性があります。

Ⅲ課税所得金額の計算

医療費控除、生命保険料控除、社会保険料控除、扶養控除などの15種類の所得控除が
課税標準から控除されます。
個人事業者が健康保険料などの社会保険料を支払った場合、事業所得からの控除ではなくて、
課税所得を計算する段階での控除となりますので、

各種所得の計算上、費用(損金)計上することはできません。

仕訳としての相手方は事業主貸(借方)となることに注意してください

Ⅳ納付税額の計算

寄付金控除(税額控除の場合)、配当控除、住宅借入金等特別控除などの税額控除、
源泉徴収や予定納税などの前払税金を控除します。

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