1億円の現金は税務上は1億円の評価
タンス預金に1億円あったとしましょう。この税務上の価値はいかほどでしょうか。
はい、1億円です。
1億円の不動産の税務上の評価はいくらか?
では、1億円の不動産、自宅、マンションやアパートの税務上の評価はいくらになるでしょうか。
時価を建物2,000万円、土地8,000万円としてみましょう。
不動産の価格は1物4価
不動産は1物4価と言われていますが、その4つの価格は、
それぞれ公示地価、実勢価格、路線価、固定資産税評価額となります。
路線価は公示地価の8割
固定資産税評価額は公示地価の7割
となるようにそれぞれが決められています。
相続税法上の評価-自宅
そうすると、建物は固定資産税評価額、土地は路線価で相続税法上評価されますから、
建物2,000万円×70%=1,400万円
土地8,000万円×80%=6,400万円
となって、合計7,800万円とかなり安くなりました。
でも、これは自分の家の話し(自用地)ですが、さらに一定の条件を満たせば、
小規模宅地等の評価減の特例
となって、さらに評価減されます。
例えば、配偶者が居住用宅地を全部相続するとすると、330㎡までは80%減額されます。
土地の面積がと330㎡以下と仮定すると、
建物1,400万円
土地6,400万円×(1-80%)=1,280万円
となって、合計2,680万円とまたまたかなり安くなりました。
そりゃそうでしょ、残された配偶者のこれからの生活を考えると、税金を取ってられますか?
税もそこまでは酷ではないということなのです。所得税はばっちり取るくせに。。
相続税法上の評価-賃貸不動産
今度は賃貸不動産の場合を考えてみます。借地権割合が70%、借家権割合が30%、
賃貸割合が100%とします。
借地権割合は路線価図にA(90%)~G(30%)まで記載されているもので、
Cと記載されていたら、借地権割合は70%となります。
借家権割合は全国一律30%です。
賃貸割合は実際に貸している住戸の割合のことです。
賃貸不動産の土地は貸家建付地といい、次の算式により計算します。
相続税評価額=自用地としての評価×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
よって、6,400万円×(1-0.7×0.3×1)=5,056万円
建物1,400万円
土地5,056万円
となって合計6,456万円となりました。
さらにこの賃貸不動産を配偶者が全部取得して事業を継続するなど一定の要件を満たすと、
小規模宅地等の評価減の特例
が適用され、200㎡まで50%減額となります。
土地の面積が200㎡以下と仮定すると、
建物1,400万円
土地5,056万円×(1-50%)=2,528万円
となって合計3,928万円となりました。
小規模宅地の評価減の特例は専門家に相談する必要あり
現金と不動産ではいかに現金保有が不利かお判りになったと思います。
現金保有に比べてアパート等で相続し、小規模宅地の特例が適用できたなら、
相続税評価額は半分以下になります。
最後に一言、
このケースでは、小規模宅地等の特例を配偶者が全部取得して、
面積も限度額以内と仮定して計算しました。
でも、実際はそのようなことはあり得ず、また、取得する人もまちまちです。
それによって適用要件が色々と変わりますので、もし実際そのような場面に遭遇したら、
相続税専門の税理士
にご相談なさることをお奨めします。