公認会計士業務

監査と財務デュ―デリジェンスとの違い

監査と財務デューデリジェンス(以下財務DD)との違いは?
財務DDも買収監査ともいわれていますので、
監査の一種と思われていますが、根本的なスタンスの違いは、

監査が過去の財政状態や経営成績が適正に財務諸表に反映されているかを把握するのに対して、
財務DDは将来どのような財政状態や経営成績になるか、
その重要な要因は現在の財務諸表のどこに存在しているのかということを把握することにあります。

監査が過去の視点、財務DDは将来の視点

ということです。


ですから、監査と財務DDは共通する点と異なる点があるわけです。
売掛金や製品の滞留は、得意先の状況や、製品の販売状況に関連するものですから、
両者に関係してくるものです。

でも、いわゆるスタンドアロン問題
すなわち、M&A後に買収対象会社が資本関係にあった親会社やグループ企業から
離脱したことにより、売上高の減少や有利な条件の取引先などを喪失、
メリットが得られなくなることに関しては、
監査では関係ありませんが、財務DDでは大きな問題となります。


親会社から製品を仕入れ、それを販売している場合、そのグループから離れた場合、
・その製品をそもそも仕入れることができるのか
・販売に応じた仕入が可能であるか
・今までのグループでの支払いサイトが優遇されていた場合、その優遇を失うことによる影響
(支払いサイトが短くなることにより、資金繰りに影響します)
という点に注意しなければなりません。

また、売上に一時的要因が含まれていた場合、
買収後にもその要因が継続するとも限りませんから、その金額も把握する必要があります。
そういった影響を除外したら、どれだけの収益力があるのか、
いわゆる正常収益力を把握しなければなりません。
これなどは監査には全く関係ありません。一時的だろうが売上は売上です。
でも、買収後には一時的要因が剥がれ落ちたら、
買収価格が高すぎたということになるかもしれませんし、色々なシナジーを見込んでいたら、
そちらにも影響するかもしれません。

財務DDは適切な買収価格の算定、買収会社のその後の財政状態及び経営成績の把握のために
将来的な視点をもって行う必要があるのです。

-公認会計士業務