相続してから多額の納税をしようと思っても、相続したものが非上場株式や不動産であったら、
納税資金がない
ということになりかねません。
そうならないためにも、納税資金の確保のためには、予め、
それなりの対策を練っておかなければなりません。
相続は納税額が多額になる場合が多いので、他の税金に比較して、
納税資金の確保には特に留意しなければなりません。
相続税を軽減し納税資金を確保する方策
相続税を軽減するといっても、それが流動性に乏しい不動産などへの変換であれば、
今度は納税資金に影響を及ぼしますので、納税資金を考慮しながら、相続税評価額を
下げることを考える必要があります。
役員退職慰労金の支給
会社の経営者であり、株主として当該非上場株式を保有しているのであれば、
役員退職慰労金を支給することによって、会社から個人へ現金が移動します。
これは退職所得となりますが、退職所得は優遇されている所得であり、20年以上の勤務であれば、
800万円+70万円×(勤続年数―20)が退職所得控除額となります。そして、
(退職金-退職所得控除額)×1/2が退職所得
となります。
そしてこれは非上場株式の評価額を下げることに繋がります。
非上場株式の評価額は、類似業種批准方式を採用するのであれば、純資産額、利益額、配当金
の影響を受けます。役員退職慰労金は純資産額及び利益額を押し下げ、これらの影響により
配当金も減らせば、すべての要素が影響を及ぼします。
また、純資産額方式であっても、純資産額の減少により影響を及ぼします。
なお、税務上留意すべき事項については追って述べることとします。
生命保険の活用
生命保険はみなし取得財産として、相続財産になりますが、
500万円×法定相続人の数
が評価額から控除されます。
例えば、生命保険が2,000万円で法定相続人が4人であれば、
2,000-500×4=0
となり、相続税評価額はゼロとなります。うれしいですね。そして、相続人には、
現金が入ってきますので、納税資金を確保することになります。
自己株式の取得
相続したのが非上場株式であれば、
取得した非上場株式を会社に買い取ってもらうことにより現金化します。
なお、
相続等により非上場株式を取得した者が、
相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに
当該株式を会社に譲渡した場合、
みなし配当課税は適用されず、すべて譲渡所得として課税されます。
非上場会社への債権の回収
被相続人がその経営する非上場会社に貸付金などの債権を保有している場合には、
その回収を図ることにより現金化を図ることができます。