訴訟に至る経緯
グローバルダイニング社は、首都圏で41店舗を運営する会社です。
緊急事態宣言下においても同社は、事業及び雇用の維持を理由として、
HPなどに営業継続の方針を掲げ、通常どおり営業していました。
しかし、同社は営業時間を午後8時までとするように東京都から要請を受け、
従わない場合は時短命令を出すとのこと、グローバルダイニング社は、
要請であれば従わないが、命令は法律上の義務なので、従う用意はある
と東京都に回答しました。
東京都は時短命令を27店舗に対して発令しましたが、このうち26店舗がグローバルダイニング社、
これにブチ切れた同社が、都への反論を発信したことに対する見せしめだと反発し、
訴訟に至ったものです。
双方の主張
双方の主張を簡単にまとめると次のようになります。
法律家ではないので、詳細は見ていません。間違いがあったらすいません。
- 東京都:命令は新型コロナの蔓延防止が目的で、見せしめなどの違法なものではない
- グローバルダイニング:なんとなく従えという空気が存在するからなどといった、
不合理な権利侵害は許されない
訴訟における守るべき利益は?
訴訟において守るべき利益は
公衆衛生と営業の自由
のどちらをより重視するのかといった問題だと思います。
法律が大好きな天秤ですね。
憲法第22条には、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」
とあります。
「公共の福祉」はとても曖昧な文言ですよね。
公共のためという言葉を使えば個人の権利はいとも簡単に制約されてしまいそうです。
このため、濫用を防止する観点から必要最小限の制約とされています。
訴訟における論点
そうすると、この訴訟の論点を2つに分けて、
- そもそも時短命令で営業の自由を侵害することが許されるのか
- 許されるとしたら、東京都の命令の発令基準が必要最小限の制約で、適切になされているか
となりますが、前者はあまり雰囲気的に争っていないような感じですし、
未知のウィルスに対する公衆衛生の保持という点からは問題ないと言えそうです。
後者は、27店舗の発令基準、そのうち26店舗がグローバルダイニングに偏った点について、
東京都は明確に示す必要があるでしょう。
当然、従来通り営業を継続していた店舗は他にも多くあるわけですから、
営業継続店舗のリスト、その立地、席数、営業時間、感染防止対策などを考慮して
発令する必要があると思います。
もしも明確な基準がなく、東京都が懲罰的に行ったとされるような形跡があるとすると、
損害賠償請求104円(1店舗につき1円:1円×26店舗×4日間)が認められるかもしれません。